緊急公演情報!「停電の中のふたり」2018年3月18日in座九条最後の日
Lucy Projectもなんどか公演を行った座九条が、残念ながら2018年3月をもって閉 […]
4.過去の公演Lucy Project~良質な舞台と映像を求めて
◇◇Lucy Project公演『熱海殺人事件』◇◇ 作:つかこうへい 演出:平本たかゆき […]
4.過去の公演◇◇Lucy Project公演『熱海殺人事件』◇◇
作:つかこうへい
演出:平本たかゆき
◇STORY
10年前、熱海の海岸で若い女・山口アイ子が絞殺された。
迷宮入りするかと思われた事件は、急転直下、容疑者・大山金太郎が逮捕される。
容疑を否認する大山金太郎に、警視庁の敏腕部長刑事・木村伝兵衛が切り込む。
捜査には木村伝兵衛の片腕・片桐ハナ子と、富山県警から警視庁に栄転してきた熊田留吉が加わり、さらに被害者アイ子は幽霊となって現れ、物語は思わぬ方向へ展開してゆく。
◇CAST
木村伝兵衛 部長刑事・・・平本たかゆき
片桐ハナ子・・・上田寛子
熊田留吉・・・山下真央子
容疑者・大山金太郎・・・大背戸陽介
被害者・山口アイ子・・・相川結
◇STAFF
舞台監督・・・酒井周太 (TSC productions)
照明・・・水野カオリ
制作・・・ペガサスキタノ
音響<プラン>平本たかゆき
<オペレーション>酒井周太
◇公演日程
2018年7月7日 土曜日 12時30分/16時/19時30分
2018年7月8日 日曜日 13時/16時30分
*開場は開演開始の30分前
◇公演会場
船場サザンシアター
大阪市中央区南船場2-4-19
ダイワビル16号館 地下1階
*北側ビル正面玄関左の専用階段より入館
<GoogleMap>
https://goo.gl/maps/YysGYzVH7qv
・地下鉄・長堀駅2B出口より徒歩2分
・地下鉄・心斎橋駅より徒歩10分
・クリスタ長堀北3号出口より徒歩2分
◇観劇料金
前売・当日共 2,500円(当日清算・自由席・入替制)
◇チケット申込 こちらのページよりどうぞ。

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Lucy Projectもなんどか公演を行った座九条が、残念ながら2018年3月をもって閉 […]
4.過去の公演Lucy Projectもなんどか公演を行った座九条が、残念ながら2018年3月をもって閉館となりました。
もう座九条で公演することはないだろうと思っていましたが、ラストの機会が訪れました。
その最終日に開催される「さよなら!座九条 カウントダウンイベント」にLucyProjectも参加。
一度限りの上演となるオリジナルストーリー。冷めた関係の夫婦に訪れた停電の夜の物語です。
入場料は1,000円ポッキリ。
しかも、当日はLucyProject以外にも、座九条ゆかりのパフォーマンスが色々見られて出入り自由。
お得な座九条最後の日をお楽しみください。
大阪を代表する小劇場のひとつ、インデペンデントシアター1stで定期的に開催されている「火曜 […]
1.Information 4.過去の公演大阪を代表する小劇場のひとつ、インデペンデントシアター1stで定期的に開催されている「火曜日のゲキジョウ30×30」。
この企画は、平日の夜にも演劇を見る人を増やそう!という趣旨で開かれている。
今年、3年度目を迎えるこの火曜日のゲキジョウにLucy Projectが登場。
「シリアスコメディ」という旗を掲げて、準古典・岸田國士作品に臨んだ。
公演を終えた今、脚本・演出・出演を務めた平本たかゆき氏は何を思うか、率直に聞いてみた。
(太字は平本たかゆき氏)
-お疲れさまでした。
ありがとうございます。
ーさて、初の火曜日のゲキジョウ30×30に初参加でしたがいかがでしたか?
その前に、あなた、今回劇場に見に来てないですよね?
ーえっ、あぁ、いやいや・・・。その日の夜は色々とありまして、、、
劇場に見に来ないで何を聞くつもりですか?
ービデオでばっちり拝見しましたので・・・(汗
まあ、いいですけど・・・(笑)。
ともかく平日の夜に数千円という価格で30分の短編のお芝居を2本見ませんか? という試みは大変面白いと思います。
一般の社会人なら仕事を終えて映画とかなら行きますよね。そんな感覚で気軽にお芝居を見るという文化がもっと根付いてくれたらと思います。
ー長い間の課題のように思いますが、小さな劇場での演劇は映画のように身近な存在になり得るでしょうか?
そこは大きなハードルですね。自戒を込めてひとつの解決方法を言えば、演劇のクオリティの底上げ、レベルアップが必要ですね。正直、「えらいものを見てしまった。。。」という作品が演劇界に存在することは認めなくてはいけません。もし、気軽に劇場に飛び込んだ人がそんなお芝居にあたってしまうと、もう二度と足を運びませんよね。
ー「えらいもの」を見てしまうことを回避する手立てはないものでしょうかね?
それは、その日の運次第ですね(笑)。真面目に答えると、おそらく、演劇を正確な知識と見識を加えた第三者の目でちゃんと評価、論評をするシステムがないことも影響しているでしょう。地道に論評活動している人もいるようですが、自分と仲がいい劇団や自分が好きな劇団は手放しで絶賛している記事が目につきます。それではまったく話になりません。これじゃあ、論評している人を論評する必要が出てきます(笑)。
ーさて、今回「シリアスコメディ」と銘打った作品の第1作となりましたが、改めてシリアスコメディとはなにかご説明頂けますか?
人間の営みって真剣であればあるほど、遠くから見るとなんだかおかしいものですよね。チャップリンも言ってますが、『人生は近くで見ると悲劇。だが、それを遠くから見れば喜劇である』なんです。そこを表現したいと考えて「シリアスコメディ」の旗を揚げました。だから、コメディと名はついてますが、お芝居の中に基本的に笑わそうという仕掛けはありません。少々あったりはしますが(笑)、「人間のドラマとしてじっくり見て貰っても大丈夫ですが、なんだかおかしければクスクスっと笑ってください」というスタンスのお芝居です。

ーそんな場面、通常の生活の中でも時々目にしますね。
そうですね。身近なところにもよくありますね。たとえば、屋外に設置された喫煙スペースでタバコをふかす人々は、本人達は他に吸える場所がなくて必死なのかも知れないけれど、暑くても寒くても、同じような人達が肩寄せ合ってタバコを吹かしている姿は滑稽以外何ものでもないでしょう。また、夜のプラットフォームで喧嘩をしている恋人達などは、デートの最後に揉めるくらいだから、本人達にとっては深刻なんでしょうけれど、全然関係のない乗客から見れば単なる冷笑の対象です。だから、シリアスコメディに登場する人達は、みな真剣であることが特徴になりますね。
ーそういう意味では、今回の登場人物はみな深刻ですね。
ひとりは病死した恋人の後を追いかけようとする男、もうひとりは恋人のために自らをこの世から消そうとする男。ふたりが偶然にも踏切わきで出会う。そこまできっちり心を固めている男二人が、やはりいざとなると自分の身がかわいい。なんだかんだ言って先伸ばばししようとする。頭では判っていても体は動かないみたいなところが非常に人間らしい。これはもう、いまの地上波TVでは出来ないような設定ですね。いささかブラックではありますが、これはある意味喜劇なんです。さすが岸田國士は人間の本質をよくわかってますね。


ー今回の作品には、岸田國士の原作には登場しない警備員が出てきましたがこの意味は?
いや、原作にも出てくるんですよ。足音だけですが(笑)。その足音を実体化したものが今回の警備員です。警備員は男二人にとって邪魔な存在であると同時に救いの存在でもある。そのあたりの3人の男の掛け合いが見たくて登場させました。

ーそして警備員が最後に重要な意味を持つ。
そうですね、あれはファンタジーですね。
ー結局、警備員は最後どうなったのでしょうか?
うーん、それはご覧いただいた皆様のご想像にお任せしたいと思います。ちょうど夜空がきれいな秋ですから、色々イメージしていただければと(笑)。

ーさて、最後になりましたが、今回の出演者は「即興牧場」のメンバーでしたね。
久々の共演でした。即興劇をするために集まったメンバーなので、台本芝居をすることになるとは思ってませんでしたが楽しかったです。これからも機会があれば共演してゆきたいですね。
(インタビュー・文)すみれ蓮
*舞台写真はビデオ動画から取りました。不鮮明ですが、ご了承ください。
LucyProject公演「命を弄ぶ男たち」 無事終了いたしました。 有難うございました。 […]
4.過去の公演
Lucy Projectがお届けする岸田國士原作のシリアスコメディ! *今回は他団体との共 […]
4.過去の公演
Lucy Projectがお届けする岸田國士原作のシリアスコメディ!
*今回は他団体との共同公演です。他団体のお芝居もご覧いただけます。
【作品タイトル】
「命を弄ぶ男たち」
【出演者・スタッフ】
◆原作 岸田國士「命を弄ぶ男ふたり」
◆演出・脚本 平本たかゆき
◆出演 ワタナベマサカズ、長尾淳史、平本たかゆき
【あらすじ】
今から列車に飛び込んで自殺しようとしている男がふたり、
偶然にも線路脇の空き地で出くわしてしまう。
ひとりは、顔を包帯で包んだ男。そしてもうひとりは、役者の男。
ふたりはお互いをけん制しあいながら、自分の自殺こそ素晴らしいと自慢を始める。
そこへ、鉄道警備員の男も現れて………。
【会場】
インデペンデントシアター1st
大阪市浪速区日本橋5丁目12-4 インディペンデントシアター1st
●大阪市営地下鉄・堺筋線 恵美須町駅 1B西出口 左手(南)1分
<GoogleMap>https://goo.gl/maps/rDpAGFp9v3x
【タイムスケジュール】
1.18:30~ Lucy Project「命を弄ぶ男たち」
2.19:10~ <同時上演>カラ/フル「『黒い沼の聖少女ミドリ』の上演記録」
3.19:50~ Lucy Project「命を弄ぶ男たち」
4.20:30~ <同時上演>カラ/フル「『黒い沼の聖少女ミドリ』の上演記録」
*上演時間はそれぞれ約30分です。
<開場時間>
18:30~は開演の30分前、
19:10~/19:50~/20:30~は開演の10分前です。
【チケット】
前売(予約)1,800円 当日2,000円(共に当日清算)
*連続する2上演をご覧頂くことが出来ます。
【チケット予約】
次のページからお申し込みください。
その際、備考欄にご案内させて頂いた出演者をお書き頂くと幸いです。
(ワタナベマサカズor長尾淳史or平本たかゆきor特になし)
シリアスとコメディ。 この相反する概念を合わせた言葉が「シリアスコメディ」。 あちらこちら […]
5.コラムシリアスとコメディ。
この相反する概念を合わせた言葉が「シリアスコメディ」。
あちらこちらで使われている言葉かと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
ならば、Lucy Projectがこの概念を確立しようと思う。
そもそもシリアスとは、真面目な、真剣な、冗談ではないと言った意味である。
それに対して、コメディとはずばり喜劇。見る人を笑わせる作品ということになる。
これはどう考えても、融合しそうにない。
しかし、かのチャップリンはこう言った。
『人生は近くで見ると悲劇。
だが、それを遠くから見れば喜劇である』
そう、そうなのだ。
人間の営みとは、真面目であれば真面目であるほど、少し距離を離れて見てみたら可笑しくて仕方がないものである。
たとえば、屋外に設置された喫煙スペースでタバコをふかす人々。。。
本人達は他に吸える場所がなくて必死なのかも知れないが、暑くても寒くても、同じような人達が肩寄せ合ってタバコを吹かしている姿は滑稽以外何ものでもない。
たとえば、夜のプラットフォームで喧嘩をしている恋人達。。。
おそらくデート終わりに揉めるくらいだから、本人達にとっては深刻な話なのだろうが、全然関係のない乗客からすれば単なる冷笑の対象でしかない。
たとえば、、、
そう、Lucy Projectでも、そんな話があった。
若い女にほだされて、言いなりになってしまった馬鹿な男の話。「痴人の愛」も本人達は一生懸命だが、端から見ればあれは喜劇である。
こういった視点で描く物語を、我々はシリアスコメディと呼ぶことにする。
いってみれば、シリアスコメディは、出演者が観客を”笑わせよう”とする喜劇ではない。
「無理に笑っていただく必要もないですが、可笑しかったら自由にクスクス笑って下さい」という喜劇である。
登場人物はあくまでもみな真剣なのである。
さて、そんなシリアスコメディ作品を上演することになった。
岸田國士原作の「命を弄ぶ男ふたり」をベースにしたLucyProject公演「命を弄ぶ男たち」である。
自殺願望の男がふたり列車の線路近くで偶然に出会い、お互いの自殺する理由を自慢しあうという話だ。
短編の物語だが、岸田國士の快作のひとつである。LucyProjectがどう料理するかをお楽しみ頂きたい。
日程、詳細は、またのちほど。
平本たかゆき
さて、今回はひさびさに劇中の音楽をすべて書きおろした。ただ、劇中の音楽は時間の都合上、泣く […]
1.Informationさて、今回はひさびさに劇中の音楽をすべて書きおろした。ただ、劇中の音楽は時間の都合上、泣く泣く曲の一部をカットすることも少なくない。
そこで、今回のメインテーマの原曲を期間限定で公開しておこう。実は、オリジナルはかなり違う曲なのである。
こちらの方が随分と金魚っぽい笑。 —-平本たかゆき
異国からきた金魚(GOLDFISH from ANOTHER COUNTRY)
平成29年7月1日、2日、Lucy Projectは、室生犀星原作の「蜜のあわれ」を舞台化 […]
4.過去の公演 5.コラム平成29年7月1日、2日、Lucy Projectは、室生犀星原作の「蜜のあわれ」を舞台化した。
「蜜のあわれ」は、室生犀星が晩年、老いた自信をモデルにして書き上げた幻想的な小説である。
飼っている金魚がキュートな少女の姿で現れて、「おじさま」にじゃれつく様子は、男としての最後の☆願望☆だったのかもしれない。
まあ、そんな話はさておき、我々はこの小説を文芸ファンタジーとしてとらえ、はっきりしない原作の結末を改めて明確に表現することにした。つまり、「おじさま」と金魚の少女、「おじさま」と女の幽霊との関係に決着をつけさせたのである。
室生犀星が、続編を書こうと思っていたのかどうか、それは判らない。いくらでも続けられる結末ではあったが、まったく書かれないまま室生犀星は逝ってしまった。このままでは、あまりにも金魚の少女と幽霊の女が浮かばれない。
どのような結末になったか、それは舞台を見てくれた方々と我々だけの秘密としておこう。
ご来場いただいた皆様には、感謝感謝である。










◇◇Lucy Project「蜜のあわれ」(原作:室生犀星) 平成29年7月公演情報◇◇◇ […]
4.過去の公演◇◇Lucy Project「蜜のあわれ」(原作:室生犀星) 平成29年7月公演情報◇◇◇
明治、大正、昭和と活躍した文豪・室生犀星の小説「蜜のあわれ」を舞台化。
「落ち目の中年作家の男」と「キュートな少女の姿に変身した金魚の娘」と「訳アリの女の幽霊」が織りなす可笑しくも哀しい文芸ファンタジー!
【日時】
平成29年7月1日(土)14:30~ 18:30~
平成29年7月2日(日)13:00~
*開場は開演の30分前
【会場】
座九条(シネ・ヌーヴォすぐ近く)
大阪市西区九条1-28-20
大阪地下鉄・九条駅6番出口 徒歩4分
阪神なんば線・九条駅2番出口 徒歩2分
<GoogleMap>https://goo.gl/maps/VjXnAY599vy
【チケット】
2,000円(前売・当日共 当日精算)
【物語】
太平洋戦争終戦から4年、まだまだ混乱が続く東京で、落ち目の中年作家・上山は、ひょんなことから一匹の金魚を飼うことになった。
不思議なことに、その金魚は、次の日からキュートな少女の姿で上山の前に現れ、あれこれと上山におねだりを始める。
そこに10年前、上山と逢い引きを繰り返していた女の幽霊が現れて、物語は思いがけない方向へ転がって行く・・・。
【出演】
赤井赤子・・・桜井みと
上山・・・土岐倫弘
田村ゆり子・・・山下真央子
金魚屋/石田医師・・・大背戸陽介
【スタッフ】
演出/脚本/音楽・・・平本たかゆき
舞台監督・・・太田かつじ(Chiroプロ)
照明・・・馬場美智子(プライヤー照明)
【チケット申し込み】
http://hiramoto.com/ticket/mitsunoaware/
【HP】LucyProject公式ページ
https://lucyproject.net
チケットはこちらのページへ。

平本たかゆき 今回は、現代演技理論の基礎と言われているスタニスラフスキーシステムについて語 […]
5.コラム今回は、現代演技理論の基礎と言われているスタニスラフスキーシステムについて語りたい。
スタニスラフスキーシステムとは、ほぼ100年前、ロシアのコンスタンチン・スタニスラフスキーが自らの実践(演技、演技指導)を元にして作り上げた俳優の訓練方法である。現在、さまざまな演技理論があるが、それをたどってゆくと最終的にスタニスラフスキーシステムにさかのぼると言われている基礎中の基礎理論である。
さて、先日、スタニスラフスキーに関するトークセッションに参加した。それなりに名のある人物の主催だったので、実はかなり期待して出掛けたのだが、そこで開催されていたものはよくある空虚なアンチ・スタニスラフスキーシステム大会だった。
別にスタニスラフスキーを批判したトークセッションでも、その内容が理にかなったものであれば構わない。スタニスラフスキーシステムは完ぺきではないし、ましてや100年ほど前に考えられたものである。すべてが現代にマッチするはずもない。私はそう思ってトークを聞いていたが、残念ながら、スタニスラフスキーシステムに関する論争でよくあるように、システムをよく理解していないパネラー達や観客の的外れな応酬が続くのみであった。
まあ、ともかく、良くも悪くも「スタニスラフスキーシステム」が話題になることがこのところ多くなった。それ自体は喜ばしいことだが、実際は、日本においてこのシステムの本質を理解できている演劇関係者は本当に少ない。言ってみれば、スタニスラフスキーシステムの誤解と曲解が散布されている状態といってもいいだろう。その原因を挙げると、スタニスラフスキーシステムは、あくまでも俳優の訓練の実践の方法を記したものなので、実際にシステムを利用した訓練を積まないとその本質的な意味が判らないからだ。これを理解するのに、勘のいい人で1年、普通の人で3~5年、さらに追求したい人は10年ほど掛かるだろう。
また、このシステムの誤解を生み出している原因はほかにもあり、それは、日本に当初持ち込まれたスタニスラフスキー著「俳優修業(俳優の仕事)」の翻訳本にある。
実は、当初、日本に持ち込まれたのはロシア語からの翻訳本ではなく、色々と構成に問題のある英語版を翻訳したものが出版された。また、日本では当初、全3巻あるうちの2巻しか翻訳出版されなかった。つまり、不完全なスタニスラフスキーシステムが長い年月にわたって日本に広まったのだ。これを取り入れ脈々とその炎をつないでいるのが「新劇」と呼ばれている一群である(もちろん、新劇はスタニスラフスキーシステムに批判的なブレヒトの演技論なども取り入れているが)。
そして、さらに混乱に拍車を掛けているものは、さまざまな演技指導者が良いとこ取りをして、自由自在に改変して伝えて行ったことにある。それらを含めて「スタニスラフスキーシステム的なもの」という印象になってしまった。
そしてそして、さらにこのシステムの誤解を生み出している真打ちは、スタニスラフスキー自身である。彼はこの大長編の書物の中で矛盾を起こしている。晩年、彼は「昔言っていたことと矛盾している。。。」といったメモを残しているほどなのである。
ともかく、スタニスラフスキーシステムを語るとき、演劇、映画関係者であればその本質を理解して語る必要があるだろう。そうしないとすべてが虚しい。何事においても、批判するのも称賛するのもその対象を十分に理解してから始まるものだろう。スタニスラフスキーを語るとき、すぐに漫画「ガラスの仮面」が出てくるが、そんなことはもうやめた方がいい。
ちなみに、というかここまで書けば理解頂けていると思うが、私はこのスタニスラフスキーシステムを自らのベースのひとつとしている者である。こんな現状を踏まえ、なんらかのアクションを起こす必要があるのかもしれないと考え始めている。
そんな初春である。