「蜜のあわれ」(原作:室生犀星)平成29年7月1日~2日公演情報!
◇◇Lucy Project「蜜のあわれ」(原作:室生犀星) 平成29年7月公演情報◇◇◇ […]
4.過去の公演Lucy Project~良質な舞台と映像を求めて
平成29年7月1日、2日、Lucy Projectは、室生犀星原作の「蜜のあわれ」を舞台化 […]
4.過去の公演 5.コラム平成29年7月1日、2日、Lucy Projectは、室生犀星原作の「蜜のあわれ」を舞台化した。
「蜜のあわれ」は、室生犀星が晩年、老いた自信をモデルにして書き上げた幻想的な小説である。
飼っている金魚がキュートな少女の姿で現れて、「おじさま」にじゃれつく様子は、男としての最後の☆願望☆だったのかもしれない。
まあ、そんな話はさておき、我々はこの小説を文芸ファンタジーとしてとらえ、はっきりしない原作の結末を改めて明確に表現することにした。つまり、「おじさま」と金魚の少女、「おじさま」と女の幽霊との関係に決着をつけさせたのである。
室生犀星が、続編を書こうと思っていたのかどうか、それは判らない。いくらでも続けられる結末ではあったが、まったく書かれないまま室生犀星は逝ってしまった。このままでは、あまりにも金魚の少女と幽霊の女が浮かばれない。
どのような結末になったか、それは舞台を見てくれた方々と我々だけの秘密としておこう。
ご来場いただいた皆様には、感謝感謝である。










◇◇Lucy Project「蜜のあわれ」(原作:室生犀星) 平成29年7月公演情報◇◇◇ […]
4.過去の公演◇◇Lucy Project「蜜のあわれ」(原作:室生犀星) 平成29年7月公演情報◇◇◇
明治、大正、昭和と活躍した文豪・室生犀星の小説「蜜のあわれ」を舞台化。
「落ち目の中年作家の男」と「キュートな少女の姿に変身した金魚の娘」と「訳アリの女の幽霊」が織りなす可笑しくも哀しい文芸ファンタジー!
【日時】
平成29年7月1日(土)14:30~ 18:30~
平成29年7月2日(日)13:00~
*開場は開演の30分前
【会場】
座九条(シネ・ヌーヴォすぐ近く)
大阪市西区九条1-28-20
大阪地下鉄・九条駅6番出口 徒歩4分
阪神なんば線・九条駅2番出口 徒歩2分
<GoogleMap>https://goo.gl/maps/VjXnAY599vy
【チケット】
2,000円(前売・当日共 当日精算)
【物語】
太平洋戦争終戦から4年、まだまだ混乱が続く東京で、落ち目の中年作家・上山は、ひょんなことから一匹の金魚を飼うことになった。
不思議なことに、その金魚は、次の日からキュートな少女の姿で上山の前に現れ、あれこれと上山におねだりを始める。
そこに10年前、上山と逢い引きを繰り返していた女の幽霊が現れて、物語は思いがけない方向へ転がって行く・・・。
【出演】
赤井赤子・・・桜井みと
上山・・・土岐倫弘
田村ゆり子・・・山下真央子
金魚屋/石田医師・・・大背戸陽介
【スタッフ】
演出/脚本/音楽・・・平本たかゆき
舞台監督・・・太田かつじ(Chiroプロ)
照明・・・馬場美智子(プライヤー照明)
【チケット申し込み】
http://hiramoto.com/ticket/mitsunoaware/
【HP】LucyProject公式ページ
https://lucyproject.net
チケットはこちらのページへ。

平本たかゆき 今回は、現代演技理論の基礎と言われているスタニスラフスキーシステムについて語 […]
5.コラム今回は、現代演技理論の基礎と言われているスタニスラフスキーシステムについて語りたい。
スタニスラフスキーシステムとは、ほぼ100年前、ロシアのコンスタンチン・スタニスラフスキーが自らの実践(演技、演技指導)を元にして作り上げた俳優の訓練方法である。現在、さまざまな演技理論があるが、それをたどってゆくと最終的にスタニスラフスキーシステムにさかのぼると言われている基礎中の基礎理論である。
さて、先日、スタニスラフスキーに関するトークセッションに参加した。それなりに名のある人物の主催だったので、実はかなり期待して出掛けたのだが、そこで開催されていたものはよくある空虚なアンチ・スタニスラフスキーシステム大会だった。
別にスタニスラフスキーを批判したトークセッションでも、その内容が理にかなったものであれば構わない。スタニスラフスキーシステムは完ぺきではないし、ましてや100年ほど前に考えられたものである。すべてが現代にマッチするはずもない。私はそう思ってトークを聞いていたが、残念ながら、スタニスラフスキーシステムに関する論争でよくあるように、システムをよく理解していないパネラー達や観客の的外れな応酬が続くのみであった。
まあ、ともかく、良くも悪くも「スタニスラフスキーシステム」が話題になることがこのところ多くなった。それ自体は喜ばしいことだが、実際は、日本においてこのシステムの本質を理解できている演劇関係者は本当に少ない。言ってみれば、スタニスラフスキーシステムの誤解と曲解が散布されている状態といってもいいだろう。その原因を挙げると、スタニスラフスキーシステムは、あくまでも俳優の訓練の実践の方法を記したものなので、実際にシステムを利用した訓練を積まないとその本質的な意味が判らないからだ。これを理解するのに、勘のいい人で1年、普通の人で3~5年、さらに追求したい人は10年ほど掛かるだろう。
また、このシステムの誤解を生み出している原因はほかにもあり、それは、日本に当初持ち込まれたスタニスラフスキー著「俳優修業(俳優の仕事)」の翻訳本にある。
実は、当初、日本に持ち込まれたのはロシア語からの翻訳本ではなく、色々と構成に問題のある英語版を翻訳したものが出版された。また、日本では当初、全3巻あるうちの2巻しか翻訳出版されなかった。つまり、不完全なスタニスラフスキーシステムが長い年月にわたって日本に広まったのだ。これを取り入れ脈々とその炎をつないでいるのが「新劇」と呼ばれている一群である(もちろん、新劇はスタニスラフスキーシステムに批判的なブレヒトの演技論なども取り入れているが)。
そして、さらに混乱に拍車を掛けているものは、さまざまな演技指導者が良いとこ取りをして、自由自在に改変して伝えて行ったことにある。それらを含めて「スタニスラフスキーシステム的なもの」という印象になってしまった。
そしてそして、さらにこのシステムの誤解を生み出している真打ちは、スタニスラフスキー自身である。彼はこの大長編の書物の中で矛盾を起こしている。晩年、彼は「昔言っていたことと矛盾している。。。」といったメモを残しているほどなのである。
ともかく、スタニスラフスキーシステムを語るとき、演劇、映画関係者であればその本質を理解して語る必要があるだろう。そうしないとすべてが虚しい。何事においても、批判するのも称賛するのもその対象を十分に理解してから始まるものだろう。スタニスラフスキーを語るとき、すぐに漫画「ガラスの仮面」が出てくるが、そんなことはもうやめた方がいい。
ちなみに、というかここまで書けば理解頂けていると思うが、私はこのスタニスラフスキーシステムを自らのベースのひとつとしている者である。こんな現状を踏まえ、なんらかのアクションを起こす必要があるのかもしれないと考え始めている。
そんな初春である。
Lucy Project公演「斜陽(原作:太宰治)」が大好評のうちに終了して1週間が過ぎた […]
1.Information 4.過去の公演Lucy Project公演「斜陽(原作:太宰治)」が大好評のうちに終了して1週間が過ぎた。今回、上原役、演出、共同脚本を務めたLucy Project代表の平本氏はなにを思うのか、率直なところを語ってもらった。
(太字が平本たかゆき氏 談)
ー大盛況でしたね。
ありがたいことです。全5回公演すべてが満席状態でした。キャンセル待ちのお客様をたくさんおられたので、客席を1、2列ほど増やせないかと検討しましたが、そうすると舞台がなくなるので泣く泣くあきらめました(笑)。
ーはじめて演劇を見られる方が多かったようですね。
おそらく大きな劇場ではご覧になったことはあるのでしょうけど、今回のように決して大きくない劇場で、かつ自分の目の前で役者が演じるような空間で初めて芝居を見る方が多かったようです。こういった劇場に通うきっかけにしていただければ幸いですね。

ー今回の脚本は共作ということでしたが。
柳原かず子役も務めた寒竹泉美さん(公式HPhttp://www.sakkanotamago.com/)は、京都在住の小説家で小説の執筆以外にも「朗読ユニットTREES」を主宰していて、「斜陽」を朗読ライブで上演されていました。
今回の台本は、元々寒竹さん作の朗読ライブ用の台本なんです。それを元に二人で推敲を重ね、完成に至りました。

ーお二人はどういう作業分担だったんですか?
相当な推敲のやり取りだったので、今となってはどちらがどのアイデアを出したのか定かでない部分も多いのですが、大まかにいえば、私が寒竹さん作の朗読ライブの台本に原作にもないエピソードを加えて戯曲用の台本に仕立て、それを寒竹さんが再びリライトした感じでしょうか。まあ、一概には言えない部分もあるのですが。
ー原作にないエピソードというと、あの部分ですね?
そうですね。あの部分です(笑)。かず子と直治のママとその弟である和田の関係を考えた時、そこになにか秘密があれば二人の人間性が浮かび上がってくると考えたんです。このエピソードを加えたことにより、ママと和田の輪郭がはっきりして存在感も増したと思います。ただ、純粋な太宰治ファンのお客様はどう思うのかなと少し不安もあったのですが、幸いおおむね好評だったようです。


ーそれから直治とスガ子の激しいシーンも生まれましたね。
原作ではぼんやりした関係性のままなのですが、何の行動も起こさず死んでゆく直治が不憫だなと感じたので、はっきりと思いを告げる機会を作ってみました。その結果として、スガ子の立場が明確になりましたね。

ーかず子vsスガ子ですね。
元々は世間体や伝統的な道徳を重んじる人だった華族のかず子が新しい生き方を模索し、ごくごく普通の庶民であるスガ子が世間体や古い道徳を守ろうとする。おもしろいものですね。人間の進む方向は環境が変わってしまえば、それにしたがって変えざるを得ない。そうしないと生きてゆけない。そこに人間の弱さと同時に、強さを感じますね。

ー弱さと強さですか?
人間を巡る社会の環境というのはよく変わるじゃないですか。斜陽の舞台である時代の「敗戦後」もそうだし、1990年代の「バブル崩壊」もそうです。また、すでに死語になりましたが「IT革命」もそうじゃないですか。IT革命以降、パソコンやガジェットを使えない人は「馬鹿に見える」時代になってしまいました。
そんな時代の変化に、多くの人は自分を変えてしがみついてゆく。中には和田のようにこれがチャンスだとばかりにビジネスを拡大する人もいる。だけど、一部の人は時代の流れについてゆけず落ちこぼれてゆく。直治のようにね。でも、それを責めることはできない。なぜなら、彼らに非があるわけではなく、環境が唐突に変わってしまったのだから。

ーつまり斜陽の世界は、敗戦後の特殊な時代背景が引き起こしたのではなく普遍的なものだということですか?
もちろん、普遍的なテーマです。社会のルールなんていつ何時変わってしまうか判らない。今、アメリカでは、トランプ大統領が誕生し、これまで新自由主義の名のもと進められてきたグローバリズムにブレーキがかけられようとしています。これによって、恩恵を被る人もいれば、逆にその生き方を変えなくてはならなくなる人もいるでしょう。そこには、色々な「闘い」があるのです。
でも、人間はどんな環境の変化にも対応できる能力を持っていると私は信じたいと思います。

ーさて、次回作は?
秘密です(笑)。次回は室生犀星とか岸田國士あたりを狙っています。目星はついていますが、詳細はまた今度。
ー引き続き、「準古典」路線ですね?
はい、しばらく準古典で走ります。
おかげさまをもちまして、 LucyProject公演「斜陽」、無事5回の公演を終了いたしま […]
4.過去の公演おかげさまをもちまして、
LucyProject公演「斜陽」、無事5回の公演を終了いたしました。
すべての回が満席状態となり、ご来場いただいた皆様には感謝感謝です。
これからもLucyProjectをよろしくお願いいたします。
代表 平本たかゆき
LucyProject公演「斜陽」(原作:太宰治)の人物相関図が出来ました。 この六人の人 […]
4.過去の公演LucyProject公演「斜陽」(原作:太宰治)の人物相関図が出来ました。
この六人の人生が複雑に絡み合います。
年末のお忙しい時期ではありますが、ぜひご来場下さい。

――太宰治のベストセラー小説が演劇になって現代によみがえる――
太平洋戦争敗戦後の改革で貴族としての特権を奪われた柳原家は、
屋敷を手放し、伊豆の小さな山荘で貧しい暮らしを強いられていた……。
どれだけ没落しても貴族としての誇りを失わない母、
弟・直治を思う行動から俗世間に飛びこみ翻弄されていくかず子、
そして、人前では不良を演じながら誰にも言えない苦悩を抱える直治。
三者三様の生き様に、自己破壊的な日々を送る作家・上原と妻・スガ子、
実業家として成功し柳原家を援助しているかず子の叔父・和田の運命が
複雑に絡まり合っていく……。
<脚本>寒竹泉美・平本たかゆき
<演出>平本たかゆき
<出演>
柳原かず子(柳原家の長女)・・・寒竹泉美
柳原直治(かず子の弟)・・・大背戸陽介
かず子、直治の母・・・夏汝香名
和田重蔵(かず子の叔父)・・・土岐倫弘
上原二郎(新進気鋭の小説家)・・・平本たかゆき
上原スガ子(上原の妻)・・・松下真由美
<舞台監督>太田かつじ(Chiroプロ)
<照明>馬場美智子(プライヤー照明)
<制作>ペガサスキタノ 塩崎綾
◆上演日時
平成28年12月17日(土)
①14時30分~ ②18時30分~
平成28年12月18日(日)
③11時~ ④14時~ ⑤18時~
(開場は開演の30分前)
◆場所 座・九条
大阪市西区九条1-28-20
(シネ・ヌーヴォすぐ近く)
<GoogleMap>https://goo.gl/maps/36emodx4kbx
◆チケット(当日清算)
全席自由席 2,000円(入替制)
☆公演は終了致しました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
Lucy Project公演「斜陽」(原作:太宰治) ――太宰治のベストセラー小説が演劇に […]
4.過去の公演――太宰治のベストセラー小説が演劇になって現代によみがえる――
太平洋戦争敗戦後の改革で貴族としての特権を奪われた柳原家は、
屋敷を手放し、伊豆の小さな山荘で貧しい暮らしを強いられていた……。
どれだけ没落しても貴族としての誇りを失わない母、
弟・直治を思う行動から俗世間に飛びこみ翻弄されていくかず子、
そして、人前では不良を演じながら誰にも言えない苦悩を抱える直治。
三者三様の生き様に、自己破壊的な日々を送る作家・上原と妻・スガ子、
実業家として成功し柳原家を援助しているかず子の叔父・和田の運命が
複雑に絡まり合っていく……。
<脚本>寒竹泉美・平本たかゆき
<演出>平本たかゆき
<出演>
柳原かず子(柳原家の長女)・・・寒竹泉美
柳原直治(かず子の弟)・・・大背戸陽介
かず子、直治の母・・・夏汝香名
和田重蔵(かず子の叔父)・・・土岐倫弘
上原二郎(新進気鋭の小説家)・・・平本たかゆき
上原スガ子(上原の妻)・・・松下真由美
<舞台監督>太田かつじ(Chiroプロ)
<照明>馬場美智子(プライヤー照明)
<制作>ペガサスキタノ 塩崎綾
◆上演日時
平成28年12月17日(土)
①14時30分~ ②18時30分~
平成28年12月18日(日)
③11時~ ④14時~ ⑤18時~
(開場は開演の30分前)
◆場所 座・九条
大阪市西区九条1-28-20
(シネ・ヌーヴォすぐ近く)
<GoogleMap>https://goo.gl/maps/36emodx4kbx
◆チケット(当日清算)
全席自由席 2,000円(入替制)
☆公演は終了いたしました。ご来場いただいた皆様ありがとうございました。


(photo by Jani Halinen) 我々Lucy Projectは、だいたい7 […]
5.コラム(photo by Jani Halinen)
我々Lucy Projectは、だいたい70~100年くらい前の戯曲や小説、いわゆる「準古典」に注目している。
なぜなら、準古典は著作権が切れていて使いやすいといった世俗的な理由ではなく、
そこに描かれている人々は、やはり昔も今も変わらないただの「人間」だからだ。
ありがたいことに、その時代の人々は、ケータイを持っていないし、インターネットも使っていない。
例えば、誰かにメッセージを伝えるためには、手紙を書くか、誰かに頼んで伝えてもらうか、あるいは直接会って話す必要がある。そこでは、間違いなくドラマが生まれる土壌があるのだ。
もどかしいほどのすれ違いも、心の葛藤も生まれる。誤解もあれば思い過ごしも起こりやすい。
だからこそ、生き生きとした人間を表現することが出来るのである。
そして、喜ばしいことに、このような準古典は山のようにある。掘れば掘るほどいい作品に出会える。まさに宝の山状態だ。
「三夜叉」(原作:金色夜叉)、「出口なし」、「痴人の愛」と続いた準古典の四作目は、
太宰治原作の「斜陽」である。もちろん、原作を忠実になぞりながら、
さらに新しい要素を加えて劇的な展開の作品に仕上がる予定である。
色々あった平成28年を締めくくる12月、ぜひ劇場まで足を運んでいただきたい。
◆日時
平成28年12月17日 土曜日 14時30分~ 18時30分~
平成28年12月18日 日曜日 11時~ 14時~ 18時~
◆場所 座九条(大阪市西区)
平本たかゆき ◇まずは感謝! LucyProject公演「谷崎潤一郎・痴人の愛」が終わって […]
4.過去の公演 5.コラムLucyProject公演「谷崎潤一郎・痴人の愛」が終わって早くも1か月が過ぎた。
演劇祭というある意味カオスな状態の中で、独自の存在感は示せたように思う。
観劇にお越し頂いた皆様には、感謝感謝である。

さて、今回登場したナオミは、「○○の三大悪女」「○○な悪女ベスト3」などにあげられる有名な悪女である。たとえ「痴人の愛」を読んだことがない人でも、痴人の愛のナオミといえば悪い女だというイメージを持っている人も多い。本作品でも描いたように、男にだらしないにも関わらず、その魅力で自分の夫を食い物にし寄生する様は、これぞまさしく悪女の最たるものである。
ただし、悪女にも大きく分けて二つのパターンがあるように思われる。
ひとつは計算ずくで男をたらしめて食い物にする女である。自分の魅力を十二分に理解し、そのうえで男を魅了し調略する。言ってみれば男を踏み台にしてのし上がってゆくタイプである。
そして、もうひとつは、自分自身はなにも悪気がないのに、周りの男たちが勝手に振り回され、悪女と後ろ指をさされるパターンである。天真爛漫で自然に男に媚びることが身についている女がこれに当てはまる。いわば「天然の悪女」である。こんな女に出会ってしまうと、男は必ずフラフラになってしまう。
そこで、谷崎潤一郎の原作を読みかえすと、あくまでもナオミに翻弄される男「譲治」の目線で書かれているので、ナオミはどちらのタイプかはよくわからない。そのあたりは、読者におまかせ、自由に想像してねということなのかもしれない。

今回の舞台を作るにあたって、当初、私はナオミを「計算高い女」と設定して進めようと考えていた。作戦通りなんども譲治の家(元の自分の家)に帰ってきて、再び譲治を虜にしてしまうストーリーである。
だが、稽古を進めてゆくうちに、あるいは実際に動くナオミを見てゆくうちに、「この女は計算していない、天然の悪女だ!」と気づいた。
(女優は最初から、天然の悪女のつもりだったようだ。。。)
計算高い悪女と天然の悪女、どちらがタチが悪いかというと、あきらかに天然の悪女の方である。物語としてはそちらの方がおもしろい。
そこで、
・一見、冷静沈着に見える譲治が、ナオミに翻弄され全面降伏する様を、無様で滑稽でユーモラスに見せる。
・ナオミは、怒りや憤りなどを感じさせることはなく、愛らしい無邪気な女に見せる。
そんな舞台を目指すことに方針を転換した。
くしくも1回目の上演ではそれ程でもなかったが、2回目の上演では、あちこちからクスクスと笑い声がおこり、終演時には意表をつかれたような笑いが劇場を包んだ。

さて、最後に、原作にもないナオミと譲治の未来を占っておこう。
この二人の未来はどうなるのか?
間違いなく言えるのは、譲治に金がある限り、ナオミは譲治の傍にいるだろう。金には困っていない譲治だから、なんとか譲治が先に死ぬ(かなり年上なので)まで添い遂げると思う。譲治も自分が加齢により衰えてゆくにしたがって、さらにナオミにはまり込んで行きそうだ。
そして、ナオミは譲治が死んだあと、残った財産で面白おかしく暮らすことになるだろう。
周りからみたらどうだかわからないが、本人たちにしたらこれもまたハッピーエンド。
これこそ、相利共生のたまものである(笑)。

ナオミ、稀代の悪女か、それとも・・・。 (クリックして頂くと拡大いたします) <上演詳細> […]
4.過去の公演
ナオミ、稀代の悪女か、それとも・・・。
<上演詳細>
◆演目:谷崎潤一郎・痴人の愛
(演劇祭「演劇動物演vol.2」にて上演)
◆出演:平本たかゆき/ケる子
◆演出・脚本:平本たかゆき
◆演劇祭日程:2016年6月17日(金)~19日(日)
◆Lucy Project出演日程
6月18日(土)16:00 同時上演「アーチチョーク/こんにちは「桜田かなえ」です」
6月19日(日)18:00 同時上演団体「劇団時乃旅人/ハダカノココロ」
*各回、2団体を1公演とし、毎回入れ替え制となります。
*1公演内での休憩はありません、次の団体の準備が整い次第すぐに始まります。
*出入りは自由、2階のロビーにて休憩ができます。
◆場所:in→dependent theatre 1st(インディペンデントシアターファースト)
大阪市浪速区日本橋5-12-4 http://itheatre.jp/access.html
◆チケット:日時指定・全席自由:
前売:2,000円 当日:2,500円 ペア:3,500円(前売のみ)
高校生以下:1,500円(前売当日共)
リピート:1,000円(リピートは演劇動物演の半券提示、一公演につきお一人一枚限り)
*高校生以下は学生証を提示
◆受付は開演30分前から、開場は開演15分前です。
◆チケット予約:すべて当日精算させていただきます。