久々の本公演となった「欲望と真実」。まずはお越し頂いたお客様に感謝したい。
この物語の裏テーマは、”真実は時として残酷である”ということだ。男たちは、真実さえ追い求めなければ大事なものを失うことはなかったのだ。
嘘も方便なんて言葉もある。あるいは知らぬが仏なんて言葉もある。
人の世の中は不思議なもので、すべてをクリアにしてしまえばロクなことはない。例えば、目の前の愛する人物をすべてクリアにしたところで失望するだけである。すっかり死語だが、ファジーなんて雰囲気がちょうどいいのかもしれない。
それでも、真実に近づきたいと願うのが人間という生き物のサガであり、そこに悲劇が待っていようとも猛烈に突き進んでゆく。

「欲望と真実」はそんな物語であったように思う。

平本たかゆき