© LucyProject(ルーシープロジェクト)~良質な舞台と映像を求めて All rights reserved.

シリアスコメディ「命を弄ぶ男たち」公演を終えて~平本たかゆき氏インタビュー/ライター・すみれ蓮

大阪を代表する小劇場のひとつ、インデペンデントシアター1stで定期的に開催されている「火曜日のゲキジョウ30×30」。
この企画は、平日の夜にも演劇を見る人を増やそう!という趣旨で開かれている。
今年、3年度目を迎えるこの火曜日のゲキジョウにLucy Projectが登場。
「シリアスコメディ」という旗を掲げて、準古典・岸田國士作品に臨んだ。
公演を終えた今、脚本・演出・出演を務めた平本たかゆき氏は何を思うか、率直に聞いてみた。

(太字は平本たかゆき氏)

-お疲れさまでした。
ありがとうございます。

ーさて、初の火曜日のゲキジョウ30×30に初参加でしたがいかがでしたか?
その前に、あなた、今回劇場に見に来てないですよね?

ーえっ、あぁ、いやいや・・・。その日の夜は色々とありまして、、、
劇場に見に来ないで何を聞くつもりですか?

ービデオでばっちり拝見しましたので・・・(汗
まあ、いいですけど・・・(笑)。
ともかく平日の夜に数千円という価格で30分の短編のお芝居を2本見ませんか? という試みは大変面白いと思います。
一般の社会人なら仕事を終えて映画とかなら行きますよね。そんな感覚で気軽にお芝居を見るという文化がもっと根付いてくれたらと思います。

ー長い間の課題のように思いますが、小さな劇場での演劇は映画のように身近な存在になり得るでしょうか?
そこは大きなハードルですね。自戒を込めてひとつの解決方法を言えば、演劇のクオリティの底上げ、レベルアップが必要ですね。正直、「えらいものを見てしまった。。。」という作品が演劇界に存在することは認めなくてはいけません。もし、気軽に劇場に飛び込んだ人がそんなお芝居にあたってしまうと、もう二度と足を運びませんよね。

ー「えらいもの」を見てしまうことを回避する手立てはないものでしょうかね?
それは、その日の運次第ですね(笑)。真面目に答えると、おそらく、演劇を正確な知識と見識を加えた第三者の目でちゃんと評価、論評をするシステムがないことも影響しているでしょう。地道に論評活動している人もいるようですが、自分と仲がいい劇団や自分が好きな劇団は手放しで絶賛している記事が目につきます。それではまったく話になりません。これじゃあ、論評している人を論評する必要が出てきます(笑)。

ーさて、今回「シリアスコメディ」と銘打った作品の第1作となりましたが、改めてシリアスコメディとはなにかご説明頂けますか?
人間の営みって真剣であればあるほど、遠くから見るとなんだかおかしいものですよね。チャップリンも言ってますが、『人生は近くで見ると悲劇。だが、それを遠くから見れば喜劇である』なんです。そこを表現したいと考えて「シリアスコメディ」の旗を揚げました。だから、コメディと名はついてますが、お芝居の中に基本的に笑わそうという仕掛けはありません。少々あったりはしますが(笑)、「人間のドラマとしてじっくり見て貰っても大丈夫ですが、なんだかおかしければクスクスっと笑ってください」というスタンスのお芝居です。

ーそんな場面、通常の生活の中でも時々目にしますね。
そうですね。身近なところにもよくありますね。たとえば、屋外に設置された喫煙スペースでタバコをふかす人々は、本人達は他に吸える場所がなくて必死なのかも知れないけれど、暑くても寒くても、同じような人達が肩寄せ合ってタバコを吹かしている姿は滑稽以外何ものでもないでしょう。また、夜のプラットフォームで喧嘩をしている恋人達などは、デートの最後に揉めるくらいだから、本人達にとっては深刻なんでしょうけれど、全然関係のない乗客から見れば単なる冷笑の対象です。だから、シリアスコメディに登場する人達は、みな真剣であることが特徴になりますね。

ーそういう意味では、今回の登場人物はみな深刻ですね。
ひとりは病死した恋人の後を追いかけようとする男、もうひとりは恋人のために自らをこの世から消そうとする男。ふたりが偶然にも踏切わきで出会う。そこまできっちり心を固めている男二人が、やはりいざとなると自分の身がかわいい。なんだかんだ言って先伸ばばししようとする。頭では判っていても体は動かないみたいなところが非常に人間らしい。これはもう、いまの地上波TVでは出来ないような設定ですね。いささかブラックではありますが、これはある意味喜劇なんです。さすが岸田國士は人間の本質をよくわかってますね。

ー今回の作品には、岸田國士の原作には登場しない警備員が出てきましたがこの意味は?
いや、原作にも出てくるんですよ。足音だけですが(笑)。その足音を実体化したものが今回の警備員です。警備員は男二人にとって邪魔な存在であると同時に救いの存在でもある。そのあたりの3人の男の掛け合いが見たくて登場させました。

ーそして警備員が最後に重要な意味を持つ。
そうですね、あれはファンタジーですね。

ー結局、警備員は最後どうなったのでしょうか?
うーん、それはご覧いただいた皆様のご想像にお任せしたいと思います。ちょうど夜空がきれいな秋ですから、色々イメージしていただければと(笑)。

ーさて、最後になりましたが、今回の出演者は「即興牧場」のメンバーでしたね。
久々の共演でした。即興劇をするために集まったメンバーなので、台本芝居をすることになるとは思ってませんでしたが楽しかったです。これからも機会があれば共演してゆきたいですね。

 

(インタビュー・文)すみれ蓮
*舞台写真はビデオ動画から取りました。不鮮明ですが、ご了承ください。

関連記事

「命を弄ぶ男たち」ご来場ありがとうございました!

LucyProject公演「命を弄ぶ男たち」 無事終了いたしました。 有難うございました。 ご来場頂いた皆様、感謝、感謝です!…

Lucy Project公演「命を弄ぶ男たち」~2017年9月12日(火)/火曜日のゲキジョウ30×30

Lucy Projectがお届けする岸田國士原作のシリアスコメディ! *今回は他団体との共同公演です。他団体のお芝居もご覧いた…

シリアスコメディを語る

シリアスとコメディ。 この相反する概念を合わせた言葉が「シリアスコメディ」。 あちらこちらで使われている言葉かと思っていたが、どうや…

20177/5

「蜜のあわれ」メインテーマ曲の原曲・期間限定公開

さて、今回はひさびさに劇中の音楽をすべて書きおろした。ただ、劇中の音楽は時間の都合上、泣く泣く曲の一部をカットすることも少なくない。 そこ…

「蜜のあわれ」公演を終えて~平本たかゆき

平成29年7月1日、2日、Lucy Projectは、室生犀星原作の「蜜のあわれ」を舞台化した。 「蜜のあわれ」は、室生犀星が晩年、老いた…

ページ上部へ戻る